隣の家族は青く見える 真島秀和と北村匠海のキスシーンにはすぐに飽きた
不妊治療、BL、リストラ、子供をのぞまないDINKSといろいろな材料をぶちこむだけぶちこんだ本作。
BLとか不妊治療とか、一瞬おっと思うようなネタを持ち込みながらも、うまく料理できなくなるのでは? という懸念を序盤で感じましたが、見事にそうなってしまってます。
いろいろ派手なネタをぶちこんでるわりに、なんか軽いというか、ふわふわしている感じ。深刻感ゼロ。
テレ朝の「明日の君がもっと好き」も同性愛を盛りこんだりして、てんこ盛りの内容なんですが、こちらは意外と楽しめます。
問題を深掘りしていってるし、シリアスさもあるので(笑える部分も多々あり)。
比較すると、「明日の君がもっと好き」のほうが圧倒的にテイストは古臭いんですよね。
隣の家族のほうがさらっと軽く明るいテイストです。一見好まれそう。しかし、このテイストで同性愛とか不妊治療を扱うと、内容の重みが全く伝わらない。
あまりシリアスにするのはやめよう、問題が問題だけに、という姿勢を感じますが、それが裏目に出ていて物語自体に魅力がなくなってしまってます。
「明日の君がもっと好き」のほうは、重たいモノローグ(心の声)があったりして、若い視聴者はひいてしまうような流れもありますが、こちらのほうが個々人が抱えた問題がきちっと物語に織り込まれながら進行していき、問題が深掘りされていきます。
あと、どうせショッキングなネタを扱うなら徹底的にという感じで、嫁が同性と浮気していることに興奮するダメ夫などを投入して、楽しませてくれます。
こっちのドラマのほうが視聴者の顔色を窺ってないんですよね。
ちなみにこのダメ夫(渡辺大)が秀逸。
ほんとに笑えるほどゲスいんです。
たとえば、仕事中に嫁(志田未来)に電話をかけ、「(浮気相手の森川葵と)どんなことしたんだよ」と聞き出そうとして(志田未来は回答を拒否)、それをネタに〇〇ニーしようとしたりします。
渡辺大にはこれを機に第二の(若いほうの)高嶋政伸になってほしい。
隣の家族のほうに話を戻すと、まず深キョンとマツケンの夫婦に子供ができないという設定がまずい。
深キョンは健康的だし、マツケンも生命力が強そう(私生活では子だくさん)。この二人が明るさを失わず不妊に立ち向かうって設定がまずおかしい。
第一、明るさを失わず不妊に立ち向かうってゆー見せ方がね、なんかね、ほんとに不妊に悩んでる人たちに失礼ってゆーか、なんというか。
不妊治療をしている人たちに理解を、ってゆー目的もあるんでしょうが、それより、不妊をふわふわと扱ってしまったなという印象のほうが強い。
不妊治療をしている人たちに理解をしめしたくても、そういった人たちはだいたい内緒でやってるものなので(会社の人に言いたくないの、よくわかる)、この目的は達成が困難。
それより、不妊治療についてのリサーチ結果を教科書的に挿し込んでますが、あれ、どうなんでしょう。
勉強にはなるんだけど、あまりにもわかりやすく「リサーチの結果です」みたいになってるのもね、ちょっとなって感じ。
あと、ちゃんとリサーチしてるなら、旦那のほうの採取(異常がないか検査するための採取)は病院じゃなくても、外でとってから持ち込んでもOKとか、そういった病院もあることをちゃんと示したほうがいいのでは?
不妊治療の入り口のハードルが下がるので。
そして、BLネタ(真島秀和と北村匠海のカップル)ですが、初回でキスしたときは「おお~っ、22時台のドラマでここまでやるのか~」と感心しましたが、二回目のキスではもう飽きてしまいました。
なんか慣れてしまって、すごく普通に見えた。BLネタももうショッキングじゃない時代だしね。
真島秀和と北村匠海だと絵になるというか、きれいだし、驚きも少なく、嫌悪感もゼロ。清潔だけど、味もないってことなのかな。リアル感薄し。
これが出川とかカンニング竹山とかそういった男と北村匠海が毎回チュッチュしてたら、そっちのほうが目をひくかも。でも、笑ってしまう方向に流れるかな。
いずれにしても、男同士のキスぐらいでは、最近の視聴者はびくともしないってことです。同棲してるんだから、もう一歩踏み込んだ映像がほしい。
高橋メアリージュンと平山浩行にはベッドシーンをやらしてるのに(深キョンとマツケンもやってる。かわいらしいものだけど)、あの二人だって・・・そう期待する視聴者もいるはずです。
ベッドで寝っ転がって、真島秀和が後ろからぎゅってのはあったか。でも、あーゆーのじゃない。
そういえば、メアリージュンと平山浩行のHシーン、たいしたことはしてないのに濃厚でしたね。
高橋メアリージュンの濃さゆえか(演技はうまいよね)。
しかし、二人でいちゃいちゃしてたら平山浩行の前妻の子供が訪ねてきて、メアリージュンが下着姿を見られる(浩行はキスマークを見られる)ってゆーべたべたなシーンはいかがなものか。
いいんだけど、どうせなら笑えるぐらい思いっきりやっちゃってほしかった。
笑えないし、べただし、どうしたらいいもんやらで視聴者はおいてきぼりでした。
このドラマで一番ひっかかったのは人生訓の軽さ。
庭の花を見て、きれいだけど、この花も実はがんばってて強い、私もがんばろう(深キョンが立ち直る)、とか、旦那(平山浩行)が高橋メアリージュンの後を追わないのはメアリージュンのことを思ってるからだよ、とか、道徳の教科書のようにひねりのないアドバイスが出演者の口から出てきます。
みんなそこそこの年令、そこそこ人生経験がある人たちの集まりって設定なのに、これはいかがなものか。
シリアスさを過剰に演出するような人生訓もいらないと思うんですが、中学生の悩みさえ解消できそうもないアドバイスでは視聴者は納得しません。
最終的に、この集合住宅の誰をうらやんだらいいんだ? という感じになってきました。
不妊で悩む夫婦、世間の壁を感じて同性愛でぎくしゃくする男二人、旦那が職なしでいらいらしてる妻が怖い家族、旦那の息子を急に預かることになったおしゃれ夫婦・・・どれがうらやましいの?
結果的に、どこの家でもなにかあって、隣の家族は青く見えるだけだよ、でも、それも悪いことじゃないよというオチにしたいのか。
そこまで透けて見える設定ってどうなの?
視聴率も悪化してるようだし、ここいらで大きなテコ入れが必要かと。
たとえば、「明日の君が」の渡辺大のように橋本マナミをちょっと変態チックにして、真島秀和を襲わせるとか。
その際には「女を教えてあげるわ」とかべたなこと言ってほしい。渡辺大が「男教えてやるよ」と言いながら森川葵に襲いかかったように。
それで真島秀和が北村匠海と橋本マナミの間で揺れ始めたら最高(ここまでやったらやりすぎですが)。
そこまで思い切った展開は期待できない本作ですが、どういったふうに着地するのでしょうか。
後半、思い切った展開で盛り上がることを期待してます。
↓↓健康的なのが本作ではちょっと裏目に↓↓