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「凪のお暇」と「これは経費で落ちません」~会社の中で幸せを探すか、外で探すか~

凪のお暇の最終回、良かったですね。黒木華が中村倫也も高橋一生も振るのは予想通りでしたが(物語というか、ドラマとしてはあれが大正解。というか、あれ意外まとめる方法がない)、あれを実際にやってはダメ。
自立を突き詰めるあまり、ついつい一人を選んでしまい、結局適当な相手が現れず、過去の男を振り返り「ああ、あいつだったか」となってしまうケースは多々あります。
これ、実際ものすごく多いんですよね。
自分探しというか、自己を確立するのもいいんですが、その旅の途中に出会ったしまったら、これでいいのかな、この時点でキメていいのかなと迷うでしょうが、そんななかでもきちんとパートナーを確立させることはとても大事です。
ってゆーか、若い時のほうが恋愛のチャンスは多いので、大抵自己を確立させる前に適当な誰かに出会ってしまうもの。
そこで手を打たないとひどいことになります。
仕事では自立できたけど、昔のようにまともな男が近づいてこなくて、ヒモみたいな男をパートナーにしたりっていう働く女のことを笑えなくなる。
だめんずって意外にこのタイプが多いんですよね。
あと、自分に厳しく、他人には緩かったりするタイプ(これって仕事にはめちゃくちゃ向いてるひとなんですよね)も自分探しにのめり込むタイプに多い。
このタイプもいい男を逃したりするので(真面目なひとって勝負弱いんだよね。ここぞってところで負ける)要注意です。
さて、「凪のお暇」の裏でやっている「これは経費で落ちません」もとてもおもしろいです。
真面目さもコミカルさもあり、主人公のかわいさもある。主演の多部ちゃんの演技力がなければ成立しなかったともいえるドラマですが、意外にあまりないタイプのドラマなんですよね。
会社を舞台にすると、どうしてもリアリティに欠けたり(というか、会社って千差万別だから正解がない。視聴者が納得できる会社像を作るってとても大変なのです)、かといって最大公約数的な要素でまとめて無難な設定にすると、ドラマで見るほどのものじゃなくなってしまうという難しさがある。
そのあたりの微妙な線をうまく狙っていって成功しているのが、このドラマなのです。なので地味だけど、希少。
石鹸の製造・販売という、身近なのか身近でないのかわからない業態も良かったと思います。理解できそうで理解できない感じが見てて楽しい。
毎週楽しみなドラマが裏かぶりというめずらしい現象を起こしていましたが、先に終了したのは凪のお暇でした。
この2つのドラマ、主人公が20代、30代の若い女子で、会社の中では真面目に頑張るタイプ、人に迷惑をかけることはなく、どちらかといえばかけられるタイプということで、主人公の像がわりと似ていました。
育ちの問題で、凪のほうは自己評価の低い顔色伺い女子になっていましたが、どちらも会社のなかで埋もれるタイプといえばそうなのです。
そんなふたりが、どうやって幸せにたどりつくかという物語ですが、経費のほうは会社のなかでいろいろあっても踏ん張り、会社のなかで居場所を確保しがんばっていくというもので、凪のほうは、会社の中では人に恵まれず、その世界は諦め、外の世界に救いを求めるというものでした。
凪のほうは、外の新しい世界では、これまでの不運を取り戻すように人に恵まれ立ち直っていく、新しい自分になっていくというふうに展開していきますが、これはちょっとリアリティに欠けます。
あのドラマは素晴らしかったんですが、実際にこれを目指しちゃダメです。今は皆が他人に厳しい、優しくない時代です。
会社の中もぐちゃぐちゃしててプチ修羅場にあふれてますが(それはドラマのなかでよく表現されていた。あの会社の微妙に嫌な感じが描けていたことがこのドラマの良点のひとつ)、そんな利害関係もない外の世界では、もっと厳しい人間関係があると思っておいたほうがいい。
とくにドラマのような安いアパートに入ると、周囲には全く期待できません。
長年の一人暮らしで学びましたが、やはり家賃と民度というのは相関しがち。
安いところって騒音問題とかすごいよ。挨拶とかもぜんぜんしないし。
仲良くしたいなんて全くないけど、でも、通りすがりにあまりにも荒んだ目つきで睨まれたりする(相手は睨んでるつもりはないだろうが)と怖いです。
ということで、経費のほうが幸せをさぐるという点では、リアルにおすすめです。
経費では、多部ちゃんが真面目に仕事すればするだけ、会社の先輩を追い詰めたりすることになったりします。
多部ちゃんは四角四面なクソ真面目の堅物野郎ではないので、自分が仕事を貫くことで他人の人生を変えてしまうことに迷ったり、悩んだりします。社内での攻撃にもあったりする。
賢い多部ちゃんは、そういった問題を不器用にクリアしながら、自分のスタイルを貫くわけですが、こっちのドラマのほうが喜怒哀楽はゆるいんですが(というか地味)、実用的というか、リアルです。
男にモテモテになる凪のほうが派手というか華やかですが、そういった派手さもないのに見る人をしっかりと惹きつけられるNHKのドラマ制作力と多部ちゃんの力はすごいと思いました。
凪のほうも、たくさんの濃いめのキャラが出てきて、群像劇的に進んでいき、多面的な楽しさがありました。
多くの登場人物を深掘りするほうが、物語に多様性や奥行が出ますが、下手すると内容が散漫になって台無しとなります。そういった下手をうつこともなく慎重な筋運びで成功している凪も女子ドラマとしては最高の出来栄えでした。
こういった女子ドラマの多くが中途半端になり失敗するものですが、凪が成功したのも、黒木華の演技力がまた大きかったと思います。
2大おもしろドラマが裏被りとなってしまい、どちらかいっぽうを見逃した人もいると思いますが、ぜひ両方とも視聴することをおすすめします。