夏ドラマの中間報告 夏なのに力がはいった女子ドラマが多数。おススメは意外なほど面白かった「サバイバルウエディング」と足立梨花の「噂の女」
夏は外出が増えるので数字が悪くなりがち(夏枯れ状態)。
なので夏ドラマには各局そんなに力を入れないなんて話がありますが、今夏は違うようです。
スタート前は高嶺の花と義母と娘のブルースの一騎打ちになるかと思ったんですが、序盤を終えた時点では高嶺の花はやや空回りしている感が強い。
人間の業や欲、才能ある人間の苦悩のようなものを描こうとした作家性の強い意欲作ですが、ちょっとドラマという形では厳しいものがあります。
映画とかネットドラマとか、そういったもののほうが流行ったと思う。
万人受けを求められる地上波のドラマでは、こういったエッジがききすぎたものはちょっと不利です。
石原さとみは下品すぎたという批判もありましたが、難しい役をよくこなしていると思う。
脚本家や監督からしたら、大満足の女優さんでしょう。
そのあたりを見事に回避して、万人が楽しめ、笑ったり泣いたりできる内容にまとめられているのが義母と娘のブルース。
下手したらありきたりで古いと感じてしまいそうなものを、うまく演出して、今の視聴者を取り込んでいます。
でも、これ、若い人には受けてるのかな? そういった疑問は残ります。いい話なんだけど、ちょっとありふれてて、古いドラマのような感じも強いんだよね。
でも、毎週見たくなる安定した面白さがあります。実力のある一本です。
ノーマークだったのに始まったら意外にめちゃくちゃおもしろかったのが波瑠の「サバイバルウエディング」でした。爆笑できるといった内容ではないんですが、笑える場面も多く、情緒的なシーンも意外にうまい。
婚活がテーマということで、大袈裟だったりしてリアルさに欠けるのかなと思ったけど、そんなこともなかった。
波瑠は編集者ということで、これまた視聴者に「壁」を感じさせる(リアルさゼロ)のかと危惧したんですが、この部分も上手にスルー。
個性的な編集長(伊勢谷)をもってくることで、雑誌という特殊な世界の色はちゃんとつけながら(編集者の同僚にブルゾンをもってくるなどの工夫も)、一般の人をおいてけぼりにしない演出が見事です。
この波瑠が結婚をドタキャンしたダメ彼氏(エリート商社マン?)に未練たらたらだったりで、ちょっとダメ女だったり、イケメン年下(吉沢亮ってほんとに顔がきれい)にコロッと惹かれたりして(妄想しまくる)、中二女子のように大人力の足りない女なのですが、それが見てて楽しい。
30前後で初めて感じる生きていくつらさみたいなもの(この時期の苦しみなんてまだまだ緩いけどね)もうまーく描けている。
ちょっとわかりやすすぎる事項を盛りこみすぎで(こういったことを描きたいからこういった事柄をぶち込むといったご都合主義が目立つ)、簡単すぎるきらいはあるのですが、波瑠の演技力もありなかなかのものになっています。
あと、単純に伊勢谷がおもしろくて素敵。変わり者編集長ということで、映画ノリのまんまで演じてくれる伊勢谷さんに目が奪われます。
誰より笑いをとっていくのも伊勢谷だしね。伊勢谷さんは、このドラマで見事にドラマ転身を図れたと思う。
女子ドラマばかりをみてきましたが、おっさんドラマでおもしろいものが一本あります。それはハゲタカ。
とにかく展開が早くて、飽きません。ただし、トイレに行ってる間に買収が成立してたりもするので要注意です。
スーツを着たおじさんたちがみっちり一時間画面にたれ流しです。カジュアル化が進みすぎた今、かえって新鮮です。
今はヒールで高嶋政伸が出演中。沢尻エリカも出番が減りましたが、ちゃんと出続けるようです。
80年代にドラマに出まくっていた筒井道隆も拝めたりして(年とっても天然な雰囲気で素敵です)ありがたい。
ビジネスの現場をドラマチックに描き、スピード感でリアルさの欠如をごまかすといったことに成功しています。
一話完結ではなく、二話三話でひとつのくだりをまとめているといった感じ。
あっという間に時間が過ぎるスピード感のある内容になっていて、おすすめです。
あともう一本、個人に推したいのは「噂の女」。新しさも意外性もありはまっています。
主演の足立梨花が片田舎で「噂の女」として君臨しています。
その周辺の人たちにスポットをあて、一話完結の形をとりながら、足立梨花が片田舎でのし上がっていく(保険金殺人の後にクラブをオープンしたり)姿を描きます。
足立梨花はこのドラマで見事に花開いた感じがあります。
「この町で、負けないように生きてるだけ・・・」
そうつぶやくシーンはなかなかのものでした。
噂の女、まだまだ後半部分が残っています。今後は足立梨花と刑事の中村俊介が絡みはじめます。
確実に終盤に向けて盛り上がるので、気になった方はぜひ見てみてください(ド深夜なので録画して)。