ハゲタカ (ほぼ)すべてのサラリーマンが憧れるダイナミックビジネスの世界
綾野剛がぎゃああと怒鳴れば、ぐぬぬぬぬと小林薫がうなる。
そのそばでなんともいえない表情を浮かべて立っているのが渡部篤郎。
どっちかに加勢せんかい。
ということで、第三回目でミツバ銀行編は終了ですかね?
沢尻エリカはレギュラーじゃなかったの? あれで終了? 寂しい。
エリカ様しか女子の出ないドラマだったのに・・・
ということで、ハゲタカの感想です。
何度も映像化されているハゲタカですが、みるのは初めて。
どれどれ、どうやっておじさん視聴者たちの心をつかんでいるのかとくと拝見。
そんなふうにぜんぜん期待してなかったのですが、結構楽しめます。
なんといってもテンポが良い。というか、ダイジェストというか、あらすじをまとめた総集編を見ているよう。
間延びはないんだけど、情緒も少なめ。
でも、流れるような展開を見せてくれるので、ひきこまれる。脚本がお上手。
そんなふうに無駄のない構成なので、感情の盛り上がる暇がないのに、ときどきぶちこまれるいきなりの演出過多なシーン(綾野剛が急にテンションあがったりね)は悪目立ちする。
さすがにあんなに一気には感情移入できないよ。
さっきまでM&Aとか隠し口座とか言ってたのに、いきなり「亡き父の仇」の話をされても、年食って涙もろくなってきたとはいえ、そんなに急発車はできない。
綾野剛は冷徹なビジネスマンのくせに、妙に人情味あふれるところがあったりして、キャラクターにリアルさを欠く。
いろいろ思ってることはあるんだけどなあという表情を浮かべ、上司に何も言えない渡部篤郎のほうがリアルさはある。
物語はバブル崩壊後の不良債権処理にまつわる物語。
何億、何百億という単位のお仕事がありがたみもくそもなく淡々と語られ、処理されていきます。
まさにビッグビジネス。超一部の限られたエリートしか関われないお仕事の話が展開していきます。
でも、こんなふうに紙芝居のように不良債権処理の裏を見せられると、「すごさ」も「ありがたみ」も伝わらない。
ただ得体の知れないダイナミックさ(要するに動く数字の大きさ)だけはすごいので、そこで視聴者の関心をゲットしていきます。
こんな世界、誰もが関われるもんじゃないですもんね。
「ああ、こんなでっかい仕事がしてみたかった」といった世のサラリーマンの羨望を集めるドラマです。
あそこまでの仕事をしてなくても、「仕事ってきれいごとだけじゃないよな」といったシンパシーはもてるしね。
あと、M&Aつってもそんなに大した仕事じゃないんだなといった誤解まで与えてしまっている。
会社辞めたら済むぐらいの責任感で行っていける仕事なんですかね。
だったらやりたい放題だが。あ、そうか、それでやりたい放題で不良債権の山ができたわけね。
そういったことも気づかせてくれる、金融素人も金融を語りたくなるドラマなのでした。