就活家族 前田敦子が泣きの演技で大失敗&脇でも輝く木村多江
今週の前田敦子、泣きっぱなしでしたね。この演技がいただけなかった。
普段から声に芯のない感じなんですが、泣くシーンになるとその傾向がさらに強くなり、泣いているというよりぐずっているような印象を与えます。
泣きながら浮気してた彼氏にたいして怒るシーンがあったのですが、声に力がないので、怒りの部分が表現できません。
子供がぐずってるみたいな感じになってしまう。でも、今の若い世代にはこーゆー感情表現をする人も少なくないので、リアルといえばリアルかもしれません。
比較的演技力が高く、正統派の演技をする役者さんばかりが集まった本作で、前田敦子はある意味「新しい」存在。
上手い下手でいえば、まあ下手になってしまうのですが、作品のスパイスというか、アクセントのひとつになっていたことは事実です。
工藤阿須加が若いのに安定した演技をして、その安定感が若々しさを感じさせないものだったので(前田敦子の兄のようになっていた)、前田敦子は不安定な演技ながら、若々しさは表現できていましたね。
さて、主役の三浦友和や黒木瞳たちより断然目立っていたのが木村多江です。
嫌な役でしたが、ラストでは友和をよくサポートしていました。でも、結局、友和はインドには行かなかったですけどね。
この作品の木村多江の役どころなんですが、基本的にお嬢です。
おじさんはけっこうな会社の社長であり(友和を入社させようとした)、大手会社の社員であり(一度はリストラされた)、結構な年なのに結婚が決まっていたが(きれいだから決まったのでしょう)これは破談(結局わがままで優柔不断なんでしょう)。
いい家(家柄も良く、金もある)に生まれ、教育にも金をかけてもらい、そこそこの学歴を取得。
いい会社に入って、手頃なタイミングで結婚して家庭に入る。そういった人生を周囲から望まれていたはず。
しかし、会社では(たぶん)仕事にかまけ、結婚には興味をもたず、妻子持ちの上司を密かに思い、気づけば結構な年になっていた。
親も「しょうがないわね」と困ったふりをしつつ、手元に置いておきたいし、いざとなったら遺せるものはあるし、「ま、いっか」という感じに。
プチ富裕層によくありそうな話です。
こーゆー人ってへたの勉強ができたのがまずかったんでしょうね。
お嬢できれいでバカ(お勉強的な意味で)だったら、さっさと見合い結婚でもさせられて(金持ちと)、浮気されまくったとしても(相手もボンボンで金はあるがアホで思いやりはない)、晩年には子供に「でも、母さん、幸せだったわ。あなたたちにも出会えたし・・・」みたいなセリフをはいていたはず。
どっちが幸せかはわかりませんが・・・
こんな木村多江でしたが、脇でもしっかりとした演技で対峙した黒木瞳を圧倒。
「それでも(友和が)好きなんです」
黒木瞳がおどおどしてたのに、ストーカーまがいのことまでしてた愛人(でもないんだけど)のほうが堂々としてて謎っちゃー謎なシーンなんですが、でも、やっぱり木村さんは存在感があってうまい。
空港のシーンでも、「きっと・・・何かをみつけてきますから」と友和に背を向けるのですが、あのシーン、ぐっときましたね。
こーゆーここぞというひとことでちゃんと成果を出せる役者さんってすごいです。
しかし、きっと・・・でためたときは、うまくいきますから(番組タイトル)、とでもいうかと思いきや違いましたね。いいセリフでした。
とゆーことで、最終回のあらすじです。
長女の前田敦子は彼氏、渡辺大に浮気され、仕事はうまくいかずどん底状態。母、黒木瞳に相談しようとするも時間がとれず、会ってもらえません。
そんななか、父、三浦友和からアドバイスを受け、彼氏にぶつかっていき、別れてしまいますが、仕事にやりがいを見出し、新たな気持ちで再出発します。
長男、工藤阿須加は就活塾の裏をあばく記事を書き、雑誌社の正社員の地位をゲットしますが、世話になった塾長、新井浩文を思い複雑な気持ちを抱きます。
しかし、塾長はそんな工藤さんに「もう俺みたいなやつにはひっかかるな」とのこし去っていきます。
母、黒木瞳は新しい仕事が楽しく、日々を充実して過ごしています。しかし、子供たちの相談にものれない日々。
そんななか、夫の友人、段田安則から夫、三浦友和の話(段田さんのための仕事で家族の食事会に行けなかった)を聞き、心が揺れます。
そして、父、三浦友和は家族のそばにいたい(妻とは離婚するかもしれないが)という思いから、インドの新会社の社長の話を断ります。
自分の代りに子供たちのサポートをしていた夫の話を聞き、黒木瞳は家に戻ることにします。
そして、前田敦子や工藤阿須加もこの流れに加わることに。結局、家族みんなが新しい家に住み、新しい暮らしをはじめることになります。
最後はハッピーエンディングでしたね。予想通り。でも、最終回はおもしろかったです。
ありがちで予想通りな展開でもきれいにまとめていて、説得力がありました。最終回が本作の最高視聴率をたたきだしたのも納得です。
ひとつ思ったのですが、日本ってもう40代、50代以上の人ってほんとに必要としていないんですね(アラフォーの自分にはこたえる内容でした)。
本作では40代の木村多江、50代以上の黒木瞳と三浦友和が失職します。
木村多江はリストラ(結局は会社に復帰できますが)、黒木さんと友和はトラブルから。
そして、仕事が見つからない、決まらない。あそこまで現状はひどくないとは思いますが、でも、結構リアルだと思います。
最後は丸くおさまっていましたが、あれはドラマだから。リアルだと、結構な低空飛行がつづくと思います。
そして、友和は新しい仕事を提案されますが、それはインドでの仕事。
「お母さん、娘をやめていいですか?」の夫、寺脇康文も会社を辞め、仕事は決まりますがそれも海外の仕事でした。
日本ではこんなふうにもう中高年は必要とされてないんです。
連絡はインターネットが中心になり(人と人のつながりが薄れ、「〇〇さんだから」といった取引はなくなる一方)、社内の仕事はバカでもできるようにツール化とマニュアル化ばかりが進み、それに合わせるためのトラブルに対応することが仕事となりつつあります。
つまり、誰でもできて、経験などを必要とせず、長くやる必要がない仕事です。
新しい仕事はインターネットまわりでは発生しますが、ネットの中で育った20代、30代がこういった仕事は得意でとっていくので、年寄りには仕事が回ってきません。
こういった傾向はますます続くんでしょうね。
そう思うとくら~い気持ちになりますが・・・
いろいろと考えさせられるところもあった就活家族でした。